この記事によって以下のことを知ることが出来ます。
- テクニカル指標の選び方と使い方、組み合わせ方について
- 管理人おすすめのチャートツール(Tradeview)の紹介
- 管理人おすすめのテクニカルインジケーターの紹介
- ピボットとVWAPを使ったトレード手法の紹介
移動平均線、ストキャスティクス、MACD、RSI、ボリンジャーバンド等、テクニカルインジケーターは無数にあります。
MT4などのチャートツールで色々なインジケーターを数多く試してきたけど一体どの指標を使ったらいいの?とお悩みの人もおられるかもしれません。
特にMT4はフリーのインジケーターが無数にあるのでインジケーターに聖杯があるハズだとインジケーター探しの罠に嵌まりがちです。
人によってインジケーターの好みは様々ですが、私が思う日経225先物、株なども含めてトレードで「必ず見るべきインジケーター」と考えると、その数はかなり絞り込まれてきます。
この記事では日経225先物のチャート分析で役立つテクニカルインジケーターを私が独断と偏見で厳選して紹介します。
日経225先物で必ず見るべきテクニカル指標とは?
結論を言うと「見ている人が多いテクニカル指標」がおすすめです。
市場には国内の機関投資家や外国人投資家、アルゴ、個人投資家など、資金量も違ううえに無数の思惑の元に様々な時間軸でトレードをしている参加者が集まってきています。
いくら有名なテクニカル指標だったとしても
- 1時間足の10期間移動平均と20期間移動平均がゴールデンクロスしたから買い
- 15分足の(12、26,9)のMACDがデッドクロスしたから売り
- 5分足のRSIが30以下の売られすぎゾーンから反転してきたので買い
上のように見ている時間軸を変えれば全く違う表示結果になるインジケーターを売買の根拠にしてしまうのは「弱い」と言わざるを得ません。
それで勝てたらそもそもトレードで負ける人なんて誰もいないと思います。
無数の思惑の元に様々な時間軸でトレードをする参加者が世界中から集まってきているのが「市場」です。
なのに特定の時間軸の特定のテクニカルインジケーターが売買サインを出したから買うとか売るとか、根拠が薄いということに気づかないといけません。
私が言う「見ている人が多い指標」というのは、チャートの時間軸を変えたとしても「表示結果が変わらない」「同じポイントを指し示す指標」という意味です。
チャートの時間軸を変えても同じ結果になるということは、それだけで多くのトレーダーが同じポイントを見ているということです。
結果的に指標自体の信頼性が高まります。
それでは早速、いくつか紹介してみたいと思います。
おすすめインジケーター1:単純移動平均線(SMA)
このページの冒頭で「見ている時間軸を変えれば全く違う表示結果になるインジケーター」の信頼性はどうなのか?と記述しましたが、日足、週足、月足など誰もが必ずチェックする重要な時間軸の移動平均線は最低限は確認をしておくべきです。
移動平均線については計算方式によって多くの派生インジケーターがあり、使い勝手のよいものも沢山ありますが「多くのトレーダーが見ている指標」という条件に照らし合わせるとSMA(単純移動平均)がいいと思います。
パラメーターに関しては諸説ありますが、20,50、100、200といった組み合わせや、25、50、75、100、200という数値設定がよく使用される組合わせと言われています。
下図の左が日経225の週足チャート、右が月足チャートです。
移動平均の設定は20,50、100、200で表示しています。
2020年の3月中旬に16350円付近まで下落した後、5月の下旬に至るまで急速に反発してリバウンド相場が続いています。
どこまでの戻りがありそうか?という視点で見ると・・・
- 週足の20SMA:20897円
- 週足の50SMA:21641円
- 週足の100SMA:21712円
- 週足の200SMA:20882円
- 月足の20SMA:21482円
- 月足の50SMA:20608円
- 月足の100SMA:17649円
- 月足の200SMA:14902円
20608円、20882円、20897円とレジスタンスがあり、ここを突破して21000円に乗せるのも結構しんどそうだな・・・しかし、20900円を抜けてきたら上は21500円まではあるかもしれないな。
2番そこがここから来るとして、下は月足100SMAの17500円前後までの押し、抜けたら15000円付近まではあるのかな・・・。
この見解が正しいか正しくないかは置いておくとして、複数の移動平均線を使ってこのようなチャートの読み方をすることができます。
また、次に紹介するPIVOTインジケーターと組み合わせるともう少し詳しく分析することができます。
おすすめインジケーター2:PIVOT(ピボット)
ピボットとは、J・ウエルズ・ワイルダー・ジュニア氏が開発したテクニカル指標で別名「リアクション・トレンド・システム」とも呼ばれます。
基準とする時間軸(日足なら前日、週足なら前週、月足なら前月)の高値・安値・終値から基本の「ピボットポイント」という値のラインを算出し、それを用いてさらにピボットの上方と下方それぞれ3つ、合計6つのラインを設定するものです。
ピボットを基準として上の3本は、レジスタンス(抵抗)の意味のRから、R1、R2、R3となります。
ピボットを基準とした下の3本は、サポート(支持)の意味のSから、S1、S2、S3となります。
基本的には節目を表示させる指標なので逆張り的な使い方をしますが、R3、S3を突破する値動きが発生した場合、トレンド発生と判断し抜けた方向(トレンド方向)にエントリーをするという使い方をします。
ピボットポイント、レジスタンス、サポートの各ラインでは利食いの決済注文や新規の売買注文などが集まりやすく価格が反応しやすい「節目」として機能します。
ピボットのメリットは、基準とする時間軸(日足なら前日、週足なら前週、月足なら前月)の高値・安値・終値から、ピボットポイント、各サポート、レジスタンスのラインが引かれるため、5分足で見ようが1時間足で見ようがどの時間軸のチャートでも同じ価格にラインが表示されます。
ただし、海外のFX業者のMT4などでチャート上にデイリーピボットを表示させた場合、基準となるタイムゾーンが違う場合があるので、タイムゾーンの違いによるピボットの表示位置の違いが出る場合があるのでその点には注意が必要です。
タイムゾーンに関しても市場参加者の最も多い地域のタイムゾーンに合わせるのが最適解だと思います。
ピボットの詳しい説明は下記のサイトをお読み下さい。
ピボットは単純な計算式ながらも、誰が計算しても同じ価格にラインが引けることから、外国人投資家などのプロのトレーダーが節目として必ず見ているテクニカルなのでチャートに表示させておくことをおすすめします。
PIVOT(ピボット)の計算方法とは
ピボットの計算式はわかりやすく単純です。ここでは日足のピボットを算出する計算式を紹介します。
まず前日の高値をH、安値をL、終値をC、基準となるピボットをPとします。
ピボットから前日高値Hまでの距離をD1、ピボットから前日安値Lまでの距離をD2、前日高値から前日安値までの距離をD3とします。
- PIVOT(P)=(H+L+C)÷3
- D1=H-P
- D2=P-L
- D3=H-L
- S1=P-D2
- S2=P-D3
- S3=S1―D3
- R1=P+D2
- R2=P+D3
- R3=R1+D3
Tradingviewで日経225チャート上にPIVOT(ピボット)を表示してみよう
日経225先物2018年12月限の5分足チャートにTradingviewにデフォルトで内蔵されているピボットポイント・スタンダードを表示します。
上のツールバーの「インジケーター」→「内蔵」→「ピボットポイント・スタンダード」を選択します。
日足のピボットを表示する場合はPivots Timefrmeの設定をDaily(デフォルトはAuto)に変更します。
設定がAutoの場合は表示するチャートの時間軸に応じてピボットの期間が自動で切り替わります。
これで5分足チャート上に日足のピボットが表示されました。上の画像のように表示されればOKです。
水色の枠の部分で価格が反応しておりサポレジとして機能しているのがわかります。
上の画像はTradingviewの日経225ミニ2018年12月限の30分足チャートにDaily(日)、Weekly(週)のピボットを表示させています。
一見して不規則に上下に激しく動いている日経225先物相場に見えますが、チャート上にピボットを表示させてみると、ピボットライン付近で価格が反応してサポレジとして有効に機能していることがわかります。
スイングの天底を捉えたYearly(年)ピボット
下の図はTradingviewの日経225ミニ2018年12月限の日足チャートにYearly(年)のピボットを表示させています。
ピボットのR1(赤の矢印)付近で上昇が止められ下落に転じています。
下落した後、ピボットポイント(緑の矢印)付近で下落が止められ反転上昇しており、直近のスイングの高値安値をピンポイントに捉えているのが分かります。
常にこんなに綺麗にピボットが機能するわけではありませんが、ピボットは日経225先物の主要なプレーヤーである外国人投資家、アルゴも意識している節目なので我々、個人投資家も有効に活用していきたいところです。
ピボットのインジケーターはTradingviewにデフォルトでも内蔵されていますが、ユーザーが公開しているフリーのインジケーターもあります。
以下のURLで無料のpivotインジケーターのコードが配布されています。他にも類似のインジケーターがフリーで公開されているので検索してみてください。
参考:CM Pivot Points Custom(Tradingview公式)
おすすめインジケーター3:VWAP(出来高加重平均)
VWAP(ブイワップ)とは、「Volume Weighted Average Price」の略称で、売買高加重平均価格のことです。
VWAPは当日の取引所で成立した価格を価格ごとの出来高で加重平均したもので、以下の計算式で算出できます。
VWAP = 1日の総売買代金 ÷ 1日の総出来高
一般的には、価格がVWAPを上回っていれば、その日に買った人の損益合計はプラスであり、逆に下回っているとマイナスとなります。
機関投資家やヘッジファンドは毎日顧客の大量の注文を捌かなければならず、マーケットにインパクトを与えないようにVWAP付近の価格で少しづつ継続的に売買注文を執行します。
わかりやすく言うと、顧客が買いたい場合、機関投資家はVWAPの価格で買うと顧客に「市場参加者の平均よりも不利な価格で買ってるじゃないか!」と後々突っ込まれずに済むというわけです。
日経225先物市場においてもVWAPに追随するアルゴリズムが走っており、VWAP周辺の価格帯では買い方と売り方のぶつかり合いが起き価格が反応します。
VWAPの基本的な見方は、傾きとローソク足との位置関係を見ます。
- 上昇トレンド:VWAPがローソク足の下にあり、VWAPが上向き
- 下降トレンド:VWAPがローソク足の上にあり、VWAPが下向き
下の図はTradingviewの日経225ミニ2018年12月限の5分足チャートにVWAPとDaily(日)、Weekly(週)のピボットを表示させています。
VWAPは緑と赤でカラーリングされたラインで緑は上昇、赤は下降を示しています。
VWAPは5分足チャートで見ても、15分で見ても、60分で見ても表示位置は同じで変わりません。
1日の出来高で計算するので日が変わるとVWAPラインの位置が飛ぶという点は注意が必要です。
水色の四角枠の部分に注目して欲しいのですが、VWAPに価格が反応していることがわかります。
VWAPが緑の場合(上昇)の場合はサポート(支持)として、VWAPが赤(下降)の場合はレジスタンス(抵抗)として機能しています。
VWAPは主にデイトレ、スキャルピングなどの短期トレードに有効な指標です。
スイングでポジションを取る場合でも、VWAPに近い価格でポジションを取ると高値づかみ、突っ込み売りが防げる可能性が高くなります。
【追記】
Tradingviewに内蔵されているVWAPインジケーターがアップグレードされ、複数の期間のVWAPが表示できるようになりました。
以下のチャート図のようにセッション、週、月、年と適用時間軸を変えたVWAPを表示してみると面白い結果が得られます。
四角枠で囲った部分で価格がVWAP付近で反応しプライスアクションが発生しています。
おすすめインジケーター4:価格帯別出来高
TradingviewならMr.Hiltonのマーケットプロファイル分析も簡単
上の画像はTradingviewの日経225ミニ2018年12月限の30分足チャートに出来高プロファイル(セッション毎の出来高)を表示させています。
この画像を見てピンと来た人もおられるかも知れませんが、日経225先物トレーダーとして過去14年間、月単位での負け無しという有名人のMr.Hiltonのマーケットプロファイル分析手法に非常に近いものです。
マーケットプロファイルとはざっくりと説明すると価格が留まった時間の長さからサポートとレジスタンスを割り出していく手法です。
FXのマーケットは市場参加者があまりに多すぎて正しい出来高について把握できないので、特定の価格帯に留まった時間の長さから取引量を推測し、サポレジとして割り出していくという手法は次善の策となるでしょう。
FXと違って株や先物は出来高が詳細にわかるのでマーケットプロファイルを使わなくても価格帯別出来高分析で同じ目的を達成できるわけです。
価格帯別出来高とは?
セッション出来高を選択した場合、セッション区切りは16:30~翌日の16:30までで価格帯別出来高が計算されます。
セッション内で最も出来高が多かった価格帯をポイント・オブ・コントロール(POC)として赤いラインが引かれます
POC付近では価格が止まりやすい傾向があり、サポート(支持)、レジスタンス(抵抗)として意識されます。
また、到達されなかったPOCに価格が引き寄せられる傾向があります。
セッション内の出来高の70%の範囲内を「バリューエリア」として出来高のバーが明るく表示されます。
一般的には価格は「バリューエリア」内に留まりやすく、「バリューエリア」内での値動きは遅くなります。
バリューエリアの外に飛び出す動きは値動きが速なる傾向があり、トレンド発生の可能性を示唆します。
日経225先物チャートに出来高プロファイルを表示してみよう
上の画像はTradingviewの日経225ミニ2018年12月限の30分足チャートに出来高プロファイル(セッション出来高)を表示させています。
表示方法は、上のツールバーの「インジケーター」→「内蔵」→「出来高プロファイル」を選択します。
なお、出来高プロファイルは以下の3種類から選択が可能で種類別に複数表示も可能です。
- セッション出来高
- 可視範囲出来高
- 固定期間出来高
可視範囲出来高を選択するとチャートを表示している範囲で価格帯別出来高を表示します。
固定期間出来高はチャート上をドラッグして出来高分析をする期間を自分で設定します。
今回は「セッション出来高」を表示してみましょう。
下の画像は出来高プロファイルを表示する時の設定画面です。
ラインの指定値はデフォルトでは24になっています。
細かく詳細な分析をしたい場合は「ラインの指定値」に大きな値を入力します。
「POCを右に拡張」はデフォルトではチェックは外れています。チェックをオンにすると未到達のPOCのラインがチャートの右端まで延長されます。
価格は未到達のPOCに引き寄せられる傾向があります。(あくまで傾向です)
ピボット、オプション権利行使価格と併せて意識される節目として使うことをオススメいたします。
おすすめの節目:オプション権利行使価格
オプション権利行使価格は、テクニカルインジケーターではありませんが、価格が反応する節目になるので見ておいた方がいいポイントです。
オプション権利行使価格は125円刻みで設定されており、その価格帯では売り方と買い方の攻防が起きるのでここも節目として意識されます。
オプション行使価格はは125円刻みですが、サポレジとしての強さに違いがあります。
125円や250円といった中途半端な価格のラインよりも500円、1000円、20000円などのキリのいいオプション行使価格は、心理的節目との相乗効果によってサポレジとしてより強力に作用します。
以前はオプション権利行使価格は250円刻みだったのですが、現在は125円刻みまで細かくなりました。
下の画像の水色の破線がオプション権利行使価格です。
オプション権利行使価格の付近で価格が反応して攻防が起きているのがわかります。
参考:ピボットとVWAPを使ったトレード手法
VWAPとピボットラインの節目の間を抜いていく単純かつ簡単なトレード手法を紹介します。
VWAPの傾きとPIVOTポイントの位置でトレンド判定をし、VWAPの傾き方向にエントリーします。
ピボットのライン(黄色のライン)よりも価格が上で推移している場合は上昇、下で推移している場合、下降トレンドと判断します。
決済は買いポジションの場合は1つ上のピボットラインに設定、売りポジションの場合は1つ下のピボットラインに設定します。
ロスカットはエントリー価格からターゲットまでの値幅を見て、リスクリワード比が1:1以上になる価格に設定します。
例えば、リスクリワード1:2に設定した場合、ターゲットまで100円幅ならロスカットは50円となります。
これにさらにオプション権利行使価格を絡めても機能すると思います。
2018年の11月に発売されたパンローリングの「デイトレードの基本と原則」にもVWAPを使ったトレード手法が解説されています。
ピボットを表示させてみましたが、よく効いてますね。
https://www.tradingview.com/x/MpfCi53u/
良い情報をありがとうございます。トレードに活用します。
Sadaさん
ピボットお試し頂けたのですね。ありがとうございます!
トレーディングビューが日経先物トレーダーの標準ツールになればいいなと思っております。
ご活用くださいませ。
いつも素晴らしい情報ありがとうございます。
SS225を持っているので、叢雲さんのトレーディングビューの有料インジを購入予定です。
そうしているうちに、この記事のヒロトンさんのストラテジー225が、すごい気になってきてしまいました。
ストラテジー225はいかがでしょうか?
もし、叢雲さんのオススメでしたら、ストラテジー225を叢雲さんから購入し、その特典でSS225の有料インジをお付け頂くことは可能でしょうか?
ご返事、お待ちしております。
宜しくお願い致します。
小川さん
> そうしているうちに、この記事のヒロトンさんのストラテジー225が、すごい気になってきてしまいました。
> ストラテジー225はいかがでしょうか?
ヒルトン氏の手法は、毎日、相場が始まるまでにマーケットプロファイルに基づいたサポレジ表をExcelで作成してトレード計画を立てます。
これを自分で作るのが面倒と感じないのであれば購入されてもいいと思います。
それが面倒な人向けには月額5000円を払えば毎日サポレジ表を配信してくれるサービスも提供しているようです。
https://www.tradersshop.com/bin/showprod?a=14069&c=2011270000001
まぁ、マーケットプロファイルに関してはTradingviewの価格帯別出来高で代用できると私見では考えておりますが。
> 叢雲さんのオススメでしたら、ストラテジー225を叢雲さんから購入し、その特典でSS225の有料インジをお付け頂くことは可能でしょうか?
ヒルトン氏の教材であれば「日経225マスタープログラム」こちらの方が新しいものです。
http://www.w-crew.com/hilton/master225/
オススメかどうかは難しいですね。
前述しましたがマーケットプロファイル作成でつまづく方もおられますから・・・。
それでもヒルトン氏の手法が知りたいので欲しいとおっしゃるのであれば、SS225の有料インジをお付けすることは可能です。